Nicholas GancikoffとSalvatore Galatiotoという男

今回はミランの売却交渉において、重要な役割を果たしている2人の人物であるニコラス・ガンチコフ(Nicholas Gancikoff)とサルヴァトーレ・ガラティオート(Salvatore Galatioto)について簡単に紹介しよう。本来はミランの事前契約が締結されてから書こうと思ったが、8月半ばになるらしいので、もう載せてしまうことにした。

 
 

 

まずはガンチコフの経歴から。42歳のイタリア系イギリス人であるガンチコフは、オックスフォード大学を経て、コロンビア・ビジネス・スクールでファイナンスと不動産を専門に学び、スポーツのファイナンスに関わる最先端の知識を習得した。また、そこでガラティオートと知り合った。彼は2010年からSolar Investment GroupのChief Investment Officerを務めている。その会社はミラノに本社があり、主に再生可能エネルギーを扱い、イタリアを含む15の国でプラントに20億ユーロ以上の投資をしている。彼はまたSports Investment Groupというスタジアムの建設やM&Aコンサルティングを手掛ける会社の社長でもある。2009年にインテルの新スタジアム計画に取り組んだが、計画は頓挫した。他にもジェノアサンプドリアボローニャアタランタがその顧客であった。そうした事情から彼は中国グループのアドバイザーを務めることになった。
 
 
次はガラティオートの経歴について。彼はシチリアのカステッランマーレ・デル・ゴルフォに生まれ、6歳のときにアメリカに移住しブルックリンで育ったイタリア系アメリカ人である。ソシエテ・ジェネラルリーマン・ブラザーズなどを経て、2005年からGalatioto Sports Partnersの社長としてスポーツのファイナンスやアドバイザリーを手掛けている。要するに、スポーツ専門の投資銀行マンと言ったところであろうか。顧客には数々の4大スポーツリーグのチームが名を連ねる。
 
 
普段はアメリカにいるガラティオートに代わって弟子のガンチコフがミラノで交渉にあたっており、ミランメルカートにも関わっている(もはやアドバイザーの役割を越えている)。Corriere della Seraによれば、ベルルスコーニ体制が終わると、ガンチコフが新CEOになりバルバラは去るとされている。一方、ガッリアーニとの二頭体制が継続されるのかどうかという問題も残っている。彼はテクニカル部門の専門家ではないので、ガッリアーニが去る場合、その代役がいないと、マンチェスター・ユナイテッドのウッドワードのようにメルカートで代理人や他クラブにカモにされる気がする。彼には専門分野たるスタジアム建設の面で大いにお働きになることを願おう。